春待ち
「私ね、恐かったの。覚の気持ち、私の気持ち…判ってた。私もいつか伝えたかったの。だけど私…いつもみたいに前向きにはなれないの。本気で好きになったことなんてなかったから。恋することが恐かった。覚が打ち明けてくれた時、すごく嬉しかった。本当に。だけど、逃げちゃった。あぁ私、こんなにも覚を好きになっちゃってたんだって気持ちに押し潰されそうだったの。バカみたいでしょ、いつもあんなに明るくしてるのに」
恵はそこで一度深呼吸をした。僕は胸が裂けそうだった。この心臓の刻むリズムはあの雲の向こうの星まで届くだろうか?
恵はそこで一度深呼吸をした。僕は胸が裂けそうだった。この心臓の刻むリズムはあの雲の向こうの星まで届くだろうか?