爽やかくんの為せるワザ
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それから羽水くんと話す事も顔を合わせる事もなく数日が経った。
私は桃ちゃんとは違って他クラスに友達がほとんどいないので、出会う機会も比較的少ないのだ。
桃ちゃん曰く、「顔すごい腫れてたらしいよ」とのことで。
やっぱり相当痛かったんだろうなと、自分の頬まで痛みを感じてしまう。
……きっともう羽水くんと関わることはほとんどないんだろうけど。
なんか、ちょっとだけ……残念かも。
「珠姫!サボんなっつの!今そっち点入ったぞ」
「……えっ!?あ、ごめん!」
沙羅ちゃんの大声にハッと我に返る。
現在、私達2年3組は体育の真っ最中。
種目はバドミントンで、私と沙羅ちゃんは1つのコートで得点係をしている。
私は慌てて自分の担当しているチームに点を追加させた。
「何、なんか考え事?」
沙羅ちゃんは少しだけ首を傾げて私に顔を向ける。
……沙羅ちゃんは私や桃ちゃんの様子にとても敏感に反応してくれる。
口調は荒っぽいけど、本当に友達想いで優しい子なんだ。
……でも、今回は特に悩んでるわけじゃないんだよね。
「……ううん、なんでもない!」
「そう?それならいいけどさ」
沙羅ちゃんはそう言って私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
……さすが、イケメンだ。