爽やかくんの為せるワザ
「それにしても敬吾の女装は案の定大ウケだったな」
沙羅ちゃんが思い出すようにそう話すと、周りの皆もそれに反応して「あれはひどかった」「ネタじゃん、あれ」と口々に言い出す。
「なんだよお前ら!?仲間だろ!?
てか女装させたのお前らじゃん!」
「まあまあ敬吾。花恋に女装姿見せられなくて残念なのは分かるけどさ」
「なっ、ちょ……緒方!俺そんなこと言ってねぇよ!
花恋ちゃんに見られたら俺まじ泣く!」
喚く敬吾くんに桃ちゃんが肩を組む。
そんなやり取りを見て私達含む皆が笑った。
花恋ちゃんは確か午後の部でカフェに来てたみたいで。
午前の部だった敬吾くんとは入れ違いだったらしい。
……敬吾くんにとっては良かった……のかな?
「てか花恋ちゃんミスコン優勝したの、俺まじ感動した……」
「すごいよね花恋。私もまじ感動した」
「そういう緒方も初出場で2位とかすごいだろ!」
「すごいよね私。私もまじびっくりした」
「……お前なんかふざけてね?」
敬吾くんは不審そうに桃ちゃんを見つめるが、桃ちゃんは「なんのこと?」と言わんばかりに平然としていて。
びっくりした様子も見えない桃ちゃんは、やっぱり感情があまり表に出ないなぁと思う。
ミスコンの結果について桃ちゃんを讃えたら、桃ちゃんは特になんでもないように「ありがとう」と落ち着いた様子で答えていた。
……きっと褒められるのが苦手なんだろうな。
そういうとこも桃ちゃんらしいけど。