爽やかくんの為せるワザ
「1番の驚きはやっぱり佐賀だけどな」
ふと、隅に座っていた佐賀くんへ顔を向けた敬吾くん。
続いてその場にいた全員が佐賀くんへ顔を向けるが、そこで佐賀くんがこちらに気付いた。
佐賀くんはこっちを見てぎょっと顔を歪ませる。
「佐賀!ミスターコン1位、改めておめでとう!」
佐賀くんに向かって、敬吾くんは先程と同じようにグラスを掲げた。
それにつられて皆も佐賀くんへ拍手を送る。
佐賀くんは顔を赤くさせてぶんぶんと首を振って「き、恐縮です」と少し声を張った。
ほんとにおめでとう、佐賀くん。
佐賀くんのおかげでカフェも大盛況だったし、看板も素敵なのが出来たし……。
優勝出来て、本当に良かったぁ。
「羽水も初出場で3位だしなぁ。羨ましいぜ……」
「藍くんはコンテスト出なくても元々人気だったしね。でも今回のコンテストでもっと人気出そう」
ぽんと敬吾くんの肩を叩いて桃ちゃんが言う。
……やっぱり、そうだよね。
このコンテストで藍くん達の人気が上がったのは確実だ。
そうなると、私って……藍くんと一緒にいても大丈夫なのかな。
藍くんの恋愛の邪魔はしたくない。
藍くんには幸せになって欲しい。
……もうあんな切ない笑顔はさせたくないもん。
……私、これからは自分の行動に気を付けないと駄目だな。