爽やかくんの為せるワザ




「そーいや羽水。5組の真奈ちゃんがお前のこといいなって言ってたぞ」

「あ、俺も聞いた。てかミスターコンからめっちゃ人気上がったよな、羽水」

「くっそー、まじ羨ましい。モテたい」





彼らは藍くんの肩に腕を回したりして茶化し始める。


藍くんは「え、そうなの?」と少し驚いた様子で笑っている。




……やっぱりそうなんだ。


そうだよね、だってこんなにかっこいいもん。


ミスターコンで3位になったんだし、そりゃ知名度も前より上がって人気になるのはおかしくない。




「……あ、私そろそろ行くねっ」


「え?あ、うん。またね珠姫ちゃん」





立ち去ろうとする私に藍くんは皆に絡まれながらも手を振ってくれた。


周りの男の子達も「またねー」と声を掛けてくれる。




教室で掃除の班の人と沙羅ちゃん桃ちゃんが待っててくれてたんだった。


早く戻らなきゃ。






と、その時。




「……」





3組まで向かう途中の廊下で、私は女の子とばっちり目が合った。


目が合ったというか、すごく視線を感じて目を合わしたっていう方が正しいけど。





私を見ていたのは、藍くんにビンタしたあの元カノだった。




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