爽やかくんの為せるワザ




「…………」




えっ、と思って足を止めるか悩んでいた時。


彼女はふんと私から目を離して横を通り過ぎて行った。




……な、なんだったんだろう。


私何かしてたかな……?




3組の教室に入る間際、ちらりと元カノの姿を目で追うがスタスタと角を曲がって見えなくなってしまった。



……?





「たまおかえりー」





桃ちゃんの声にハッと我に返る。


教室に入ると掃除の班の人達と、椅子に座った沙羅ちゃん桃ちゃん敬吾くんがいた。



掃除終了の確認をした後、掃除の班の人達はぞろぞろと帰りだして。


私は鞄を持って沙羅ちゃん達の元へ向かった。





「お待たせ」


「おつー。てか珠姫、聞いてやってよ」


「え?なになに?」


「敬吾の恋バナ〜」





桃ちゃんがにやにやしながら言うと、そばにいた敬吾くんが「おいにやにやするなよ!」と桃ちゃんの肩を揺すった。


敬吾くんの恋バナ?

花恋ちゃんのことかな?



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