爽やかくんの為せるワザ




「で、本題なんだけど」


「え?何、本題とかあんの?」


「どうやったら花恋ちゃんとお近付きになれるかアドバイスを頼む!」





パンっと手を合わせて私達に懇願するように言った敬吾くん。


沙羅ちゃんは「はぁ?」と溜息混じりに敬吾くんを睨んだ。






「そんなの自分で考えろよ」


「まあまあ沙羅、それが出来ないから敬吾は頼んできてるんでしょ」


「そう!色々自分的にアピールしたつもりだったんだけど、花恋ちゃんに全く届いてないらしいんだよ!」


「それってもう花恋チャンは敬吾に興味ないってことなんじゃ、」


「さ、沙羅ちゃん!そんなこと言っちゃ駄目だよ!」





とんでもない発言をしようとする沙羅ちゃんを慌てて止めた。


それ、敬吾くんめちゃくちゃ傷付くよ!?





「大丈夫だよ敬吾くん!まず花恋ちゃんと話す機会を見つけて少しずつ仲良くなれば、もしかしたら振り向いてくれるかもしれないよ!」


「な、成瀬ぇ!」


「あ!こら敬吾!
珠姫に抱き着こうとすんじゃねぇ!どけ!」






私に向かって半泣きで手を広げた敬吾くんを、後ろにいた沙羅ちゃんが足で蹴った。


敬吾くんがよろめくと、今度は桃ちゃんが敬吾くんの首に腕を回して締める仕草を見せる。





「たまの言う通り、まず話すきっかけ見つけようね敬吾」


「わ、分かったっ!分かったから離してっ」




ギブギブ、と首に回った桃ちゃんの腕をぺしぺし叩く敬吾くん。



花恋ちゃんの気持ちも大事だけど、まずは敬吾くんが頑張ってみないとね。


上手くいくといいな。



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