爽やかくんの為せるワザ
「カツ分かる?あのあたりでカラオケ行きたいって話になってさ、なんならもっと行ける人誘おうよってなったの。私もたまサラ来るなら嬉しいし」
〝カツ〟とは、2年1組の勝治智くんの愛称である。
この学年で一番顔が広くて、人気者。
騒ぐのが好きで、よく皆で楽しそうにゲームとかスポーツをやっているのが印象的で。
桃ちゃんはそのカツくん達のグループと仲が良いのだ。
「へぇー!楽しそう!」
「他の子も色々誘うみたいだし、大勢になるけど大丈夫?」
「まあいいんじゃね?たまにはそういうのも楽しそーじゃん」
「おっけー!じゃあ決まりねっ」
桃ちゃんは嬉しそうに笑う。
カラオケは私含めて桃ちゃんも沙羅ちゃんも大好きだから、よく3人でも行ってるんだよね。
それがもう楽しくて楽しくて。
でも沙羅ちゃんの言うように、たまには皆で行くのも楽しそう!
「あ、ちなみに」
桃ちゃんはパッと私を振り返る。
「実は藍くんもカラオケに来るらしいよ。
なんか話せるといいね、たま」
ぐっと親指を立てる桃ちゃんに、私は咄嗟に頷いた。
羽水くんも来るんだ……。
あれ以来話してないし、また話せるのはちょっぴり嬉しいかも。
でもまあ人も多いし、話せるタイミングがあるかどうかも怪しいんだけどね。