爽やかくんの為せるワザ
「私……」
「うん」
「男の子と……必要以上に仲良くなれないの」
「……うん」
「友達でも、好きな人でさえ……友達以上の関係が築けないっていうか……。
仲良くなり過ぎると、それ以上を望んでないからか分かんないけど……その人を拒否してしまって……」
好きな人でさえ、拒否する。
自分の頭ではその人のことが〝好き〟って思ってるんだけど、
関係が変わりそうな気がすると、好きっていう感情が次第になくなってくる。
……こんなの私だって嫌だけど、
相手はもっと嫌だろうな。
思わせぶりなことするなって怒られても仕方がないのかもしれない。
ちらりと藍くんの顔を覗き見ると、藍くんは優しい表情で頷いてくれていた。
「そうだったんだね」
「……嫌な女だよね……」
「そんなことないよ。気持ちなんて自分で操れないし。
それに、まだ友達以上の関係を望めるような人に出会ってないから、そうなるんじゃないかな」
「……え」
「珠姫ちゃんが本当に好きになれるような、運命の人がきっといるよ。
珠姫ちゃんだって俺に言ってくれたじゃん。俺にはきっと良い人が現れるって」
……そういえば。
あの、カラオケの日。
藍くんからお礼のチョコレートを貰った日。
藍くんが私に自分の事を話してくれた。
……覚えててくれたんだ。