爽やかくんの為せるワザ
「俺もう花恋ちゃんのファンとして生きようかな」
「ほんとにしそうだから怖ぇーよ」
「まあ確かに段違いな可愛さだよね。花恋もモテまくってた」
「花恋ちゃんが誰かと付き合ってたとかそーいう話はいらないからな!」
「……あ」
敬吾くんの叫びに、桃ちゃんが何かを思い出したように口を開いた。
そしてちらりと向かいに座る藍くんを見る。
「中学の時、花恋が藍くんのこと好きかもって言ってたことあったなー」
「え!?」
まさかの発言に、桃ちゃん以外の全員が驚いた。
1番反応が大きかったのは敬吾くんだけど。
どうやら藍くんも知らなかった様子。
「まあほんとに一瞬だったけど。好きかもって言うよりは〝良いかも〟っていうニュアンスに近いのかもね」
「まじかよぉー、すげぇな藍」
「……すごいの?」
「すごいに決まってんだろー!?あの花恋ちゃんに〝好きかも〟って言わしめたんだぞ!?
超ーーー羨ましい!」
がくがくと藍くんの肩を揺する敬吾くん。
うっせーんだよさっきから、と沙羅ちゃんがそんな敬吾くんにチョップをかましていて。
……でも、すごいと思う。
藍くんのモテっぷりが。
……さすが、藍くんだ。
「……ねぇ、そろそろ勉強しない?」
そう切り出したのは藍くんだった。
そういえば今日は勉強会をする為に藍くん家に集まったはず。
すっかり忘れてた私達はいそいそと勉強道具を取り出し始めるのだった。