爽やかくんの為せるワザ




「あ?なんだよ佐賀。何か用?」


「ひっ……えっと……その……」


「おい、今『ひっ』つったか?悲鳴上げたか?」


「こらこら沙羅、怖がっちゃうでしょー」





眉間にシワを寄せて佐賀くんに詰め寄る沙羅ちゃんを桃ちゃんが止めている間、佐賀くんは怯えるようにそれを眺めている。



あはは……沙羅ちゃんはまるで不良みたいに絡む癖があるから……。





「……その……成瀬さんにお願いがあって……」


「え、お願い?」





なんだろう。


すごく言いにくそうに目を泳がせてるけど。



……場所変えた方がいいかな?






「……たま、私と沙羅で先に帰るね?
今日は佐賀くんと帰っといで」





気を利かせてくれた桃ちゃんがそう言ってくれた。

沙羅ちゃんは「え、まじかよ」とびっくりしてるみたいだけど。




うん、今日はそうしようかな。

佐賀くんもその方が話しやすいかもしれないし。





「ありがとう桃ちゃん。ごめんね」


「はーい。佐賀くん、たまをよろしくね〜」


「……えっ……あ、はい」


「バイバイ!」




沙羅ちゃんの背中を押しながら桃ちゃんはそそくさと教室を後にした。


私と佐賀くんも荷物を持ち、少し遅れて教室から出たのだった。


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