爽やかくんの為せるワザ



「藍くん!帰り?」


「うん。珠姫ちゃん……と、佐賀くんも?」





私の隣に立つ佐賀くんをちらりと見た藍くん。


佐賀くんはなぜか慌てて俯いてる。





「そうだよ。あれ?カツくん達は?」


「カツは家の用事で先帰ってる。敬吾達は部活とかバイトだよ」


「そっかー」


「でも珍しいね、2人で帰るの」





藍くんは私と佐賀くんを交互に見る。


私と佐賀くんは一瞬顔を合わせて、「確かに」と心で会話した。



まあこの後に予定があるからなんだけど。

確かに初めてだね。



藍くんに視線を戻すと、きょとんとしてこちらを見ていた。



……家行くこと、あまり言わない方がいいのかな。


佐賀くんは2人きりになってから話してくれたし。





「……えーと、これから佐賀くんと予定があって……それで……」





とは言っても、

なんて言えばいいんだろ……!?



あまり抽象的過ぎたら、なんか誤解されかねないし……佐賀くんに迷惑が掛かってしまうかも。




と、1人であたふたしていると隣の佐賀くんが1歩前に出た。





「……これから僕の家に行くんだ。親が成瀬さんに会いたいって……言ってて……」





俯きがちに、でもなんとか藍くんの目を見て話す佐賀くん。




……佐賀くん。

ちゃんと言ってくれた。


私が困ってたからだろうか。


……ありがとう、ごめんね。



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