爽やかくんの為せるワザ




「告白は優陽にさせるのよ。そういう時くらい、この子からいかないとね」


「いや、あの……!」


「母さん」





いつもより大きくて強い口調の佐賀くん。


隣の佐賀くんに顔を向けると、佐賀くんは真面目な顔をしてお母さんを見つめていた。





「成瀬さんは僕のこと好きとかじゃないよ。
……成瀬さんを困らせないで」





真剣さを伝えるような眼差しに、少しだけびっくりした。



……佐賀くん。





「なによぉ、せっかく盛り上がってたのに。
でも確かに困らせちゃったわね、ごめんなさいね成瀬さん」





佐賀くんのお母さんも、少し反省したような表情で私に微笑んだ。


ぶんぶんと首を振って「こちらこそ」と伝える。




……佐賀くんが私をフォローしてくれた。

あんな佐賀くん、初めて見たかも。



ちょっと意外だったけど、なんか嬉しい。





「母さんはすぐ話を飛躍させる……」


「だって楽しいじゃない。優陽の彼女候補が家に来てくれてるのよ」


「だ、だからそういうんじゃないってば……!」





お母さんに振り回される佐賀くんを見てると、親子って感じがして微笑ましい。



佐賀くんとタイプは真逆だけど、すごく明るいお母さんだなぁ。



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