爽やかくんの為せるワザ






――佐賀くんの家にお邪魔してから1時間くらいで私はお暇することにした。



帰る時、佐賀くんが「駅まで送る」と言ってくれたので2人で一緒にマンションを出た。






「……ごめん成瀬さん。疲れたでしょ……?」





隣を歩く佐賀くんが俯いたまま話す。


あれからもずっと佐賀くんのお母さんによる質問が続き、佐賀くんは最終的に無理矢理話を切り上げさせたのだ。





「ううん。お話するの楽しかったよ」


「……成瀬さんは優し過ぎるよ。会わせない方が良かったのかも……」





むしろ佐賀くんの方が疲れてるんじゃ。





「そんなこと言わないでよ佐賀くん」


「……え?」


「私今日佐賀くんの家に行けて、本当に良かったと思ってるんだよ」





微笑む私をまじまじと見つめたまま、佐賀くんは信じ難いという顔をした。





「佐賀くんのこと色々知れたし、意外な一面も見れたし。
前よりもっと仲良くなれた気がするもん」





佐賀くんの家庭とか関係を知れたこととか、フォローしてくれたこととか、こうやって2人で話すことが増えたこととか。


前まではなかったことだもん。



佐賀くんの周りの環境も変わってきてるし、すごくプラスに働いてきてる気がするのは私だけかな。


< 139 / 311 >

この作品をシェア

pagetop