爽やかくんの為せるワザ
「偶然帰り道で会って、3人で帰ってたの」
「へぇ、そうだったんだ」
何気なく話す桃ちゃんに相槌を打って、私は少し俯く。
……き、聞いてみようかな。
「あ、藍くん……なんか怒ってた?」
「え?」
恐る恐る尋ねてみるも、桃ちゃんはきょとんとしてこちらを見つめてきた。
それは沙羅ちゃんも同じで。
……まあ「え?」ってなるよね。
「別に怒ってはなかったけど。なんで?」
「いや……ちょっと藍くんの様子がおかしい気がして……佐賀くんも『怒ってないかな?』って気にしてて……」
「おい珠姫」
歯切れ悪く話す私をじっと見下ろす沙羅ちゃん。
そんな沙羅ちゃんを呆然と見上げていると、沙羅ちゃんはぐっと私に顔を近づけて眉間にシワを寄せた。
「言いたいことあるならハッキリ言えよ。じゃねぇとこっちも真剣に相談乗れねぇだろ」
鼻がくっつきそうなくらいの距離で語気を強めて話す沙羅ちゃん。
私はそんな沙羅ちゃんの迫力に、びっくりして目をぱちくりさせる。
……真剣に相談……。
沙羅ちゃんもしかして……私の心配してくれてたのかな。
何かで悩んでる私に気付いてくれて。
……私、悩んでるんだ。
そっか、そうだよね。
誤魔化し続けても何も解決しないよね。
私のことをこんなに心配してくれる2人にはちゃんと話すべきだった。