爽やかくんの為せるワザ




「偶然帰り道で会って、3人で帰ってたの」


「へぇ、そうだったんだ」





何気なく話す桃ちゃんに相槌を打って、私は少し俯く。



……き、聞いてみようかな。




「あ、藍くん……なんか怒ってた?」


「え?」




恐る恐る尋ねてみるも、桃ちゃんはきょとんとしてこちらを見つめてきた。

それは沙羅ちゃんも同じで。



……まあ「え?」ってなるよね。





「別に怒ってはなかったけど。なんで?」


「いや……ちょっと藍くんの様子がおかしい気がして……佐賀くんも『怒ってないかな?』って気にしてて……」


「おい珠姫」




歯切れ悪く話す私をじっと見下ろす沙羅ちゃん。


そんな沙羅ちゃんを呆然と見上げていると、沙羅ちゃんはぐっと私に顔を近づけて眉間にシワを寄せた。





「言いたいことあるならハッキリ言えよ。じゃねぇとこっちも真剣に相談乗れねぇだろ」





鼻がくっつきそうなくらいの距離で語気を強めて話す沙羅ちゃん。


私はそんな沙羅ちゃんの迫力に、びっくりして目をぱちくりさせる。




……真剣に相談……。


沙羅ちゃんもしかして……私の心配してくれてたのかな。


何かで悩んでる私に気付いてくれて。




……私、悩んでるんだ。


そっか、そうだよね。



誤魔化し続けても何も解決しないよね。



私のことをこんなに心配してくれる2人にはちゃんと話すべきだった。



< 146 / 311 >

この作品をシェア

pagetop