爽やかくんの為せるワザ
「そういえば緒方もあんまり動じたりしないよね」
「あいつはな……まじで読めない。
怒った時は分かりやすいんだけどな」
大袈裟に首を振ってみせるカツに、藍はまた笑った。
そして食べ終わったカレー皿に目を落として、ゆっくりと話し出す。
「カツって……彼女作らないの?」
「そうだなぁ……そろそろ作りたいんだけどなぁ」
うーんと腕を組んだカツは、どこか晴れない顔をしている。
そんなカツを見て、藍は「そっかぁ」と頷いて。
応援するようにぐっと拳を握って見せた。
「サンキュー。俺も変わらねぇといけないなとは思ってるんだよ」
「カツなら大丈夫だよ。俺はカツと付き合いたいって思わないけど」
「やめろ!付き合いたいって思われても気持ち悪いけど!」
びしっとツッコミを入れるカツに、藍は目を細めて笑った。
そして携帯を確認して、「そろそろ戻る?」とカツに聞こうと口を開きかけたその時。
「ねぇ、ちょっといい?」
不意に頭上から聞こえた声に、藍とカツは振り返る。
藍の座る席のそばに、いつの間にか女子が1人立ってこちらを見つめていた。
その女子には2人とも見覚えがある。
というより、ミスコンで4位だった村本愛里だった。