爽やかくんの為せるワザ




「村本じゃん。どした?」




尋ねるカツに軽く微笑んで、村本は藍に向き直る。




「ちょっと藍くん借りたいんだけど……駄目?」


「え、俺?」





にっこり微笑む村本に、きょとんとする藍。


てっきりカツに用事があるものだと思い込んでいた藍は、理由が分からずただ首を傾げる。





「いいけど……。じゃあ俺先に教室戻っとくぞ」


「うん。ありがと」


「ごめんね2人とも。じゃあ藍くんこっち来てくれる?」




食べ終わった食器のトレイを2人分持ったカツはそそくさとその場を離れて行く。


そして村本に連れられ、藍も食堂を後にした。





「ちょっと人がいないとこ行きたいんだよね〜」





きょろきょろと周りを見渡しながら歩いていく村本。


その背中を追い掛けながら、藍は「ふぅん」と相槌を打つ。




「そういえば村本と話すの文化祭以来だね」


「だね!藍くん3位すごかったぁ」


「村本もすごいよ。今年女子レベル高かったし」


「えへへ、ありがとー」




可愛らしく笑う村本に、藍も微笑む。


そして人通りの少ない廊下を見つけて、「ここでもいい?」と立ち止まった。



藍が頷くと、2人は廊下で曲がって向かう合うように立ったのだ。



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