爽やかくんの為せるワザ
「おい足立〜、お前男より歌上手いってずるいぞ!」
「俺らの見せ場完璧消えた……」
なんてカツくん達が沙羅ちゃんに向けて嘆いていて、それにまた更に盛り上がっていく。
そんな中、ふと自分のドリンクバーのコップが空になっていることに気付いた。
……他にもジュースない人いるかな。
「あ、ごめんなさい。飲み物欲しい人いる?」
立ち上がって部屋の皆に声を掛けてみる。
とは言っても、沙羅ちゃんはまだ熱唱中だし、桃ちゃんも前に出て沙羅ちゃんの歌にハモったりしていて、私の声はかろうじて数人に聞こえる程度だった。
皆の様子を伺っていると、周りに座っていた数人が私を見上げた。
「いいの?ごめんオレンジジュース!」
「ジンジャーエール!ありがとたまちゃん!」
と、思ったより多くの人が私にコップを差し出してきた。
私はそれらを慌てて受け取りながら、「分かった!」と承諾する。
……こ、こぼさずに持って来れるかな……。