爽やかくんの為せるワザ





「ゴホン、えーっと単刀直入に話します」




改まる村本を、じっと藍は見つめる。


そして少し照れた様子を見せながら、村本は上目遣いで藍を見た。





「藍くん、あたしと付き合って欲しい」





そう言って、村本はほんのり顔を赤くさせる。


えへへと笑って恥ずかしさを誤魔化しながら。





「あの、藍くんが彼女と続かないっていうのももちろん知ってるから!
あっ、てか今彼女いないよね?」


「……うん、いないよ」


「良かった〜!じゃあ、あたしと付き合おうよ!」




明るく話す村本を見つめて、藍は優しく微笑む。


そんな藍を見て、村本は更に表情を明るくさせたのだ。





「村本……」


「うん?」


「ごめん。村本とは付き合えないよ」





出来る限り優しい口調で静かに話す藍。


期待の眼差しを藍に向けていた村本は、予想外の言葉にぴたりと動きを止める。






「…………え?」


「気持ちはすごく嬉しい。でもごめん」


「え、藍くん今彼女いないんだよね?
彼女いなかったらいつも告白されたら付き合ってたよね?」





状況を掴みきれずにいる村本は、顔を引きつらせて動揺する。

そんな村本を見つめたまま、藍はこくりと頷いて。




「やめたんだ、そういうの。考え方を改めた」


「……う、うそぉ〜!?聞いてないよそんなのー!」




えー!と騒ぎながら、村本は両頬を手で押さえる。


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