爽やかくんの為せるワザ
「待ってよ藍くん!あたしは藍くんときっと相性合うと思うの。好きになれずに終わったりして、藍くん悲しませたりなんかしないからっ」
「……ありがとう。でも、今の俺は村本のことそういう風に見れない」
「分かんないじゃんそんなの!付き合ったら楽しいかもしれないよ!?」
村本の言葉に、藍は切ない笑顔を見せた。
そんな藍の表情に、村本はぐっと言葉を詰まらせる。
「……藍くんもしかして、好きな人出来た?」
じっと上目遣いで村本は藍を見つめる。
藍は再び切なく笑って、顎をぽりぽりと指で掻いたのだ。
「さあ、分からない」
実際それが、藍の本音だった。
自分の気持ちが整理出来ていない今、村本の気持ちに応えることも好きかどうかを判断することも出来ない。
そんな藍に、村本は大きく溜息を漏らす。
「……分かったよ。藍くんに気になる人が出来てるならそれはすごく良いことだと思うし」
あーあ、と唇を尖らせる村本は残念そうに笑う。
「藍くんと付き合えたら楽しそうだなと思ったんだけどなー」
「俺も村本と話してると楽しいよ」
「ほらぁ、こういう優しいとこ!きゅんってしちゃうんだよね」
「…………なんか恥ずかしくなってきた」
「あはは、ごめんごめん。
じゃあ、藍くん頑張ってね」
明るい笑顔を見せる村本に、藍はほっと安心できた。
明るく優しい村本がミスコンで上位になった理由が理解出来る。
藍は立ち去る村本の背中を見送り、大きな溜息をつきながらしゃがみ込んだ。