爽やかくんの為せるワザ





   *   *   *




――「つまり、珠姫はずっと気付いてないフリしてたんだな」




お昼休み中、私は屋上で2人に全てを話した。




私が藍くんのことを気にしてること。

藍くんも私のこと気にしてるかも?って感じてること。


でも関係が壊れるのが怖くて、何も気付かないフリしてたこと。




……もし告白して、藍くんと付き合ったとして、


やっぱり私は……藍くんを拒否してしまうかもしれないことが怖い。



藍くんを傷付けたくない。



だからいっそ、私じゃない別の誰かと幸せになって欲しい……。





「珠姫」


「……うん?」


「〝気付いてないフリ〟って言ってるくらいだから、もう分かってんだよな?」




腕を組んで私の顔を覗き込む沙羅ちゃん。





……誤魔化して、誤魔化して


隠すつもりだったこの気持ち。



私の、藍くんに対する想い。





「……うん、分かってる……。

私、きっと藍くんが好きなんだよね」





口にしてみると、それが確信に変わった気がした。


すごくスッキリする。


心のわだかまりが一気にとかれたような。



……やっぱり、ほんとに私は藍くんが好きなんだな。



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