爽やかくんの為せるワザ
「自覚したならそれでいい」
「たま、顔赤い」
私の顔を見つめて、沙羅ちゃんと桃ちゃんが笑う。
……だって、普通に恥ずかしい。
すごくドキドキしてる。
「で、珠姫は羽水に告白すんのか?」
さらっと発せられたその言葉に、私は驚いて首を振った。
「し、しないよっ。そんな勇気ない!」
「じゃあずっと片想いのままでいいのかよ」
「それは……」
だって、そんなの、
今の私には考えられない。
それに……私は藍くんとは付き合えない。
藍くんは私以外の人と付き合った方が絶対幸せになれる。
自分勝手な理由かもしれないけど、
……私は藍くんを傷付けるのがすごく怖い。
「たま、あんまり焦って考えない方がいいんじゃない?」
心配そうな表情で桃ちゃんは私を見つめている。
「焦って告白したりして、もし上手くいかなかったら……たまも藍くんも傷付くじゃん。
もっと時間掛けてゆっくり考えようよ」
……桃ちゃん。
「……まあ、桃の言うことも一理ある。
でも珠姫、相手のことばっかり気遣うんじゃなくて自分のことも考えてやれよ」
真剣な顔の沙羅ちゃんに、私はゆっくり頷いた。
……自分のことも、か。
ごめん沙羅ちゃん……。
私、この気持ちだけは抑えたいの。
藍くんの幸せの為に。