爽やかくんの為せるワザ
「なあ、藍」
「……うん?」
「お前……珠姫ちゃんのこと好きだよな?」
教室内に響くカツの声。
そんな大きな声じゃなかったのに、やけに強調して聞こえた気がして。
……鼓動が少し早くなる。
「……うん」
……多分。
すごく自信ないけど。
でも、今までこんな風に誰かを想うことなんてなかったから。
……なんか、自覚したらすごく心が軽くなったな。
「おお……おおっ!?」
驚いた表情でみるみる笑顔になっていくカツ。
その様子に、なんだか少し恥ずかしくなってきた。
「み、認めた!!ってことはまじなんだな!?」
「うん……まじかな」
「おおおまじかぁ!やべぇ、俺なんか泣きそうなんだけど……」
「え、なんでカツが泣くんだよ」
「だってあの藍がやっっと好きになれる人見つけたってことだろ!?」
カツが潤んだ目で必死に訴えてくるのを見て、俺も少しずつ実感が湧いてきた。
確かに、カツの言う通りだ。
とりあえず付き合っても好きになれずに別れる、を繰り返してきた俺が、
やっと好きだと思える子を見つけた。
カツが泣くほどだから、これってやっぱりよっぽどすごいことなのかな。
……いや、カツが大袈裟過ぎるのか。
でも、どっちにしろカツがこうやって喜んでくれるのはすごく嬉しい。
ほんと優しい奴だなぁ、カツって。