爽やかくんの為せるワザ
「で、告白はすんのか!?」
わくわくとしたテンションで目を輝かせるカツ。
……こ、告白かぁ。
自覚するのも遅かったから、そういうの何も考えてなかったんだよな。
ぽりぽりと指で頬をかいて言葉を濁していると、不意に教室のドア付近から誰かが入って来るのが見えた。
俺はハッとしてその人物を視界に捕らえる。
「ねぇ、ちょっと」
「……緒方?」
入って来たのは緒方だった。
何やら不安そうな表情でずんずんこちらに向かって来ている。
俺と緒方の声で、カツも緒方の存在に気付いた。
「藍くん……たまに告白するの?」
近くで立ち止まった緒方は、鞄を机に置いて俺を見つめた。
……なんだろう。
なんか緒方、いつもの落ち着いた様子じゃない。
ていうか、さっきの話全部聞こえてたのか。
「……えっと、そう……だと思う」
「待って!」
突然大声を出した緒方に、俺とカツは見事に肩を跳ねさせた。
びっくりした……。
緒方がこんな大声出すなんて……。
「告白はしないで、藍くん……」
「……え?」
「緒方どうした?なんかいつものお前らしくねぇぞ?」
「だ、だってさ……もうちょっと時間空けた方がいいと思うの。たまの気持ちだって確認したいでしょ?それに、あんまり慌てて告白したって……たまもびっくりするだろうし」
カツの言う通り、いつもの緒方らしくない。
……でも、緒方の言ってることも分かる。
確かに……俺が珠姫ちゃんに告白して、珠姫ちゃんが俺に拒否反応が出る恐れだってあるんだ。
珠姫ちゃんもきっと……そんなことは望んでないはず。