爽やかくんの為せるワザ
なんて心配していた時。
「成瀬さん、俺も手伝う」
立ち上がった1人の男子が、細い通路をなんとか通りながらこちらに向かって来た。
正しくもそれは羽水くんだった。
「…えっ、いや、でも……」
「俺もカツにジュース頼まれたんだ。ほら、1個コップ持つよ」
優しく声を掛けてくれる羽水くんの手には、2つのコップがあった。
私が恐る恐るコップを差し出すと、羽水くんは両手に持っていたコップでそれを挟み込んでしまう。
……なるほど。
そうして私と羽水はコップを持って部屋を後にしたのだ。