爽やかくんの為せるワザ
「俺もモテたい!」
「敬吾くんには花恋ちゃんがいるんでしょ?」
「なっ、そうだけど!でもモテたい!」
そんな敬吾くんに、私は少し笑った。
敬吾くんは素直だなぁ。
少し天然で鈍感だけど、優しいし面白い。
花恋ちゃんもそんな敬吾くんの良さを知ったら、きっと友達になりたいって思ってくれそうだけどなぁ。
と、その時。
私の携帯に通知がきた。
見てみると、それは藍くんからで。
『珠姫ちゃん
昼休み、ご飯食べ終わったら屋上来れる?』
……え。
なんだろう?
ていうか、藍くんと話すの……佐賀くん家に行く日の下駄箱前以来だ。
ちょっとだけ気まずい感じしてたんだけど、それを感じてたのは私だけだったのかな。
でも、藍くんと話せるなら嬉しい。
「うん。大丈夫だよ!」
私はそう返信して、携帯を閉じた。
はっ、もしかして。
佐賀くんとのこと聞かれるのかな。
いやでも、そんなこと気になる?
私が逆の立場だったらすごく……気になるね。
気になるけど……藍くんは藍くんだし。
藍くんってあんまり動じないイメージだから、そんな私の些細な事って気にならなさそう。
って、自分で言ってて傷つくけど。