爽やかくんの為せるワザ

告白







――ガチャ。



屋上の扉を開くと、柵に寄り掛かる藍くんの背中が見えた。


音に気付いた藍くんがこちらに振り返って、軽く手を振ってくれる。



そんな姿に、ドキッとしてしまう。

というか、前にも増してキラキラして見える。




「お、お待たせっ」


「全然。ごめんね呼び出したりして」




藍くんの隣まで行くと、藍くんの笑顔が私を迎えてくれた。


ま、眩しい。




「お昼何食べた?」


「えっと……今日は3人で食堂行ったの。日替わり定食が焼肉だったから沙羅ちゃんが食べたいって言ってて」


「あー美味しいもんね、焼肉定食」




そう優しい表情で私の言葉を聞いてくれる藍くん。


こういう、何気ないところまで好きだなと感じてしまう。


……自覚した途端、これだ。


駄目なのに〜!




「……そういえば、さっき敬吾が『佐賀くんが告白されてた!』って騒いでた」


「あー……されてたみたいだね」




結局、あの呼び出しはほんとに告白だったらしい。

桃ちゃんによると、「断られてその子すごい泣いてたらしい」とのことで。


……佐賀くんも断ったんだ。

佐賀くんは……どんな人が好きなんだろう。




「佐賀くんってさ」


「うん?」


「珠姫ちゃんのこと……好きなのかな」




景色を見つめたまま呟くように言った藍くん。



……え。


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