爽やかくんの為せるワザ
――「はあ!?逃げたぁ!?」
放課後。
私は、人が少なくなってきた教室で沙羅ちゃんと桃ちゃんに昼休みの報告をした。
藍くんに告白されて、
私が逃げ出したことを。
「……まじか」
「珠姫……なんでそんなことしたんだよ」
呆然とした表情で私を見つめる2人。
私はそんな2人の視線に耐えられなくて、思わず俯いしてしまった。
……午後の授業でも、ずっと藍くんのこと考えてた。
告白された時のシーンが、何度も何度も頭の中で繰り返される。
〝俺、珠姫ちゃんが好きだよ〟
……今でも心臓がうるさいくらいドキドキしてる。
あの瞬間、ほんとに時間が止まったみたいに感じた。
……夢みたい。
「……私……ほんとに最低だ……」
小さな声で言葉が漏れる。
そう、あれは夢じゃない。
藍くんの真剣な告白から逃げ出した、最低な私が現実。
……自分がどうしようもなく嫌だ。
「たま……」
「落ち着いてからでいいから。ゆっくり話してみ」
顔を上げると、桃ちゃんも沙羅ちゃんもすごく優しい表情を私に向けてくれていて。
そんな2人を見て……私は涙が止まらなくなってしまった。
……泣くのは私じゃないのに。
きっと泣きたいのは藍くんの方。
なんで私なんかが泣いてるんだろう。
私、ほんとに……
なんてことしてしまったんだろう……。