爽やかくんの為せるワザ
「2人ともお互いのこと考え過ぎ。もっと自分優先しても誰も責めないから」
ねーっと桃ちゃんは後ろから私の両頬をうりうりと押さえる。
……お互いのこと……考え過ぎ。
藍くんも……私みたいに気を遣ってたってことかな。
「ねぇ、たま」
桃ちゃんはそう言って、私の体をくるりと自分に向けさせる。
桃ちゃんの目は優しくて、なんだかまた泣きそうになる。
「藍くんがどんな気持ちで告白してくれたか……考えてみて」
「……え」
どんな気持ちで……って。
……絶対、緊張……したよね。
でも藍くんだし。
…………いや、しないわけないよね。
しかも藍くんは、私が彼氏出来ない理由を知ってるし……。
告白すべきかどうかも、きっと考えてくれてたんだろうな。
……その上で告白してくれた藍くん。
「相当頑張ったんじゃないかな、藍くん」
「……うん」
関係が崩れちゃうかもしれないっていうリスクもあった。
でも藍くんは真っ直ぐ、私に気持ちを伝えてくれた。
……それなのに、私は……。
〝……ごめんなさい!〟
ほんとに……なんてことしてしまったんだろう。
心配そうに私を見つめる藍くんを思い出して、胸が張り裂けそうになる。
藍くんを傷付けたくなくて、断ろうとしてたのに。
今1番藍くんを傷付けてるのは、紛れもなく私だ。