爽やかくんの為せるワザ




藍くんは手を伸ばし、優しく私を抱き締める。


あったかい。

私の心臓がうるさ過ぎて、藍くんに聞こえてしまいそう。


……でも、すっごく安心する。

心から癒されるような……ストレスとかが一気になくなるような感覚。


好きな人とのハグって、こんなに幸せになれるんだ……。




「わぁ〜!嬉しいっ」



藍くんは私を抱き締めたまま嬉しそうに言葉を漏らす。

喜び方が素直で、なんだか物凄く照れ臭くなってきた。




「あ、藍くん……っ」


「んー?」


「改めて言ってもいい?」


「……うん」




少しだけ抱き締める力を緩めた藍くん。


1回藍くんに言ってもらった言葉を。

今度は自分で言うんだ。




「わ、私と……付き合って下さい……っ」




少しだけ震えた声。

藍くんはゆっくりと私から離れて、真っ直ぐ私を見つめた。





「もちろん。よろしくお願いします」




にこっと見せる藍くんの爽やかな笑顔。


幸せそうで、優しくてあったかい。


……そう、私はこんな笑顔が見たかったんだ。




「これでもう、珠姫ちゃんのこと〝彼女〟って紹介してもいいんだよね?」


「う、うんっ」


「やったー!めちゃくちゃ嬉しい」




今度は無邪気な眩しい笑顔を見せてくれる。


なんだろうこの、

幸せ過ぎる時間は。



……ほんとに藍くんと付き合えるんだよね。

私彼氏できたの初めてだし……大丈夫かな。


でも、初めての彼氏が藍くんで……なんかすごく嬉しい。


こんな素敵な人なかなかいないもん。



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