爽やかくんの為せるワザ
「あ、そろそろ戻る?昼休み終わっちゃう」
「ほんとだ!戻ろっ」
スマホで時間を確認した藍くんに、私はこくこくと頷いた。
……牛乳買いに来て良かった。
なんか私にとって牛乳って……キーアイテムみたいだな。
藍くんと話せるきっかけを2回もくれた。
ありがたや。
と、そこで。
「おめでとおおお!」
突然、渡り廊下から複数人の声が聞こえたかと思えば、陰から続々と生徒が現れた。
な、なな何事!?
「おい藍!良かったなぁ!」
「え、カツ?なんで皆いるの?」
現れた中には、カツくんや敬吾くんや沙羅ちゃんや桃ちゃん、それに同学年のいろんなクラスの人までいた。
人で溢れた中庭は、一気に騒がしくなる。
「こんな所で話してたらそりゃ皆気付くって。俺が最初に来て観察してたら皆集まった」
「最初って……カツくんはどのあたりからいたの?」
「んー、確か元カノがたまちゃん叩こうとしたくらいかな」
そ、そうだったんだ。
ちょうど私が2人のもとへ行ったくらいか。
……ってことは、その間ずっと見られてたってこと?
めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!
「たまぁ〜!良かったねぇ」
「よく頑張ったな珠姫」
私のもとへ駆け寄って来てくれた桃ちゃんと沙羅ちゃん。
嬉しそうな2人を見ると、皆いるのにまた泣きそうになった。
「ありがとう2人とも……!ほんとに皆のおかげだよ〜!」
「なあなあ成瀬!元カノのビンタ止めた羽水めちゃくちゃかっこよくなかった!?」
「ちょっと敬吾、興奮し過ぎだよ」
「うんっ……!藍くんかっこよかった!」
敬吾くんの大きな声に、周りの皆も笑いだす。
なんかこうやって皆が揃うと……ほんとに楽しいなぁ。