爽やかくんの為せるワザ



「皆も噂のこと気になってたみたいだけど、やっぱり藍とたまちゃんはくっ付くべきだって言ってたぞ」




カツくんは皆の方をちらっと見てはにかむ。


皆は少し恥ずかしそうに笑って、私達に言葉を掛けてくれる。



「藍くんとたまちゃんはやっぱりお似合いだよね」
「付き合って欲しいってきっとみんな思ってるよ〜」
「告白から逃げたって聞いた時はびっくりしたけど、最終落ち着いて良かった」
「癒し系カップルの誕生だな」
「2人とも応援してるよ〜!」




皆の言葉に、私は何も言えなかった。

優しさが身に染みる……。


どうしよう、嬉し過ぎてまた泣きそうだ……。




「ありがとう皆……。この度はご迷惑をお掛けしました……」


「いいっていいって。噂のおかげでだいぶ有名カップルになりそうだけどな」




カツくんはそう笑って私と藍くんの肩を叩いた。


それは確かにそうかも。

藍くんファンとかいたらやばいかな……。




「羽水って成瀬で何人目の彼女なん?」


「おいバカ敬吾!!付き合いたてのカップル前にしてなんてこと聞いてんだコラ!」




恐らく天然で質問してくれたであろう敬吾くんは、怒る沙羅ちゃんにきょとんとして首を傾げている。


そして皆がそんなやり取りに笑って。

私は隣に立つ藍くんを静かに見上げた。




……藍くんだから、私は好きになったんだろうな。

私を変えてくれたのも、藍くんだし。


これからは藍くんを幸せにする為に……一生懸命努力しよう。


もう絶対、あんな辛い思いはさせない。



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