爽やかくんの為せるワザ
「そう?誠実で優しそうだったけどなぁ」
「どうせ下心しかない」
「……もし2人が付き合ったとしたら、貴士くんはどうする?」
「認めないに決まってるだろ」
きっぱり言い切る貴士を見つめて、愛美は少し呆れたように溜息を漏らした。
貴士なら本当に2人の仲を認めなさそうだと心配になるのだ。
「もー駄目よ貴士くん。そんな風にしてたらたまちゃんに嫌われちゃうよ」
「……そうなのか」
クールな表情を崩さない貴士だが、あきらかに落ち込む様子を見せている。
そんな姿を見て、愛美はまたくすりと笑うのだった。
心から妹を大切にしている貴士が愛しくてたまらないのだ。
「さ、早く旅行先決めようよ。予約もしたいし」
「ああ、そうだったな。さっきいい所見つけたぞ」
愛美の言葉ですぐに切り替えた貴士は、先程の旅行情報誌を手に取って意気揚々と開いた。
こういう姿に、愛美は貴士からの愛情を感じるわけで。
貴士もそんな自分を受け入れてくれている愛美が大好きなのだ。
「広島がいいと思うんだが」
「あ、いいね。牡蠣食べたい」
2人は仲良く雑誌を眺め、優雅な休日を過ごしている。