爽やかくんの為せるワザ
「私は2人の問題だし、ゆっくりでいいと思うけどな」
桃ちゃんはスマホから目を離して沙羅ちゃんを見る。
沙羅ちゃんは「まーそうだけどよ」と大きく伸びをしてみせた。
……藍くんはどう思ってるんだろう。
藍くんもゆっくりでいいって思ってくれてるのかな。
「藍くんもたまが初めて付き合うの知ってるし、ちゃんと合わせてくれるんじゃない?」
「羽水ならそうしそうだな。焦ったってしゃーないか」
「……さ、沙羅ちゃんは普段大地くんとどんな感じなの?」
私は身を乗り出すように沙羅ちゃんを見つめた。
沙羅ちゃんは「あたし?」と少しだけきょとんとする。
実は沙羅ちゃんには中学の頃から付き合ってる大地くんという彼氏がいるのだ。
何回か会ったことはあるけど、明るくて元気なタイプの男の子だった。
「どうっつっても……しょーもない話ばっかしてるけどな。一緒にゲーセン行ったりテレビ見たりとかもしてる」
「えーカップルじゃん。沙羅ってほんと意外だよね」
「どういう意味だよ。別におかしくねぇだろ」
「おかしくないのが意外」
……確かに意外かも。
でも、そこが沙羅ちゃんらしいというか。
見た目はギャルだけど、中身は真面目で優しいところとか。
そういうギャップが良いと思う。
「でも考えてみれば、藍くんって元カノとイチャイチャしてたのかな?」
「おい、桃も珠姫の前で元カノの話すんのかよ」
「だって気にならない?藍くん今まで好きになったことないなら、イチャイチャもしてないんじゃないかなって」
……言われてみれば、気になるかも。
イチャイチャしててもモヤッとするけど……付き合ってるならしててもおかしくないよね。
桃ちゃんもそこは知らないんだ。