爽やかくんの為せるワザ




――「珠姫ちゃん」



掃除が終わった頃に、教室のドア付近から私を呼ぶ声がした。

振り返ると藍くんが爽やかな笑顔でこちらに手を振っていて。


そんな姿に思わずキュンとしてしまう。



「おーおーラブラブだなぁ。ほら早く行って来い」


「ありがとう沙羅ちゃん!2人ともまた明日っ」


「また明日〜」



桃ちゃんと沙羅ちゃんに見送られながら、私は鞄を持って藍くんの待つ廊下へ出た。


藍くんはそんな私を笑顔で迎えてくれる。



「じゃあ帰ろっか」


「うんっ」



なんか、いいなこういうの。

やっぱり付き合ったらこんな風に変われるんだなぁ。


藍くんが迎えに来てくれて、仲良く2人で帰れるっていう。

こんな些細なことでも付き合ってるだけで特別な感じがする。


幸せだぁ。



「藍くんバイバーイ」

「あ、癒し系カップルだ。またね〜」



2人で廊下を歩いていると、いろんな生徒に声を掛けられるようにもなった。

なんだか嬉しいような、恥ずかしいような。


でも藍くんはそれも爽やかに対応していて。

やっぱり動揺してるのは自分だけなんだろうなと思い知る。



「今日寄り道して帰らない?」


「……わぁ、いいよ!」



藍くんの提案に、私は笑顔で頷いた。


放課後デート!

憧れの放課後デートだ!



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