爽やかくんの為せるワザ
「あ、藍くんだー」
ふと、そんな女の子の声が聞こえてきた。
2人で声のした方に振り返ると、そこには同じ学校の女子生徒が2人いて。
手には食べかけのクレープがあった。
はっ、そっかここ私の学校でも有名だもんね。
そりゃ同じ学校の人いるか。
そして話し掛けてくれた子は、確か同学年の鈴木さん。
「デート?今たまちゃんと付き合ってるんだよね?」
「……うん、そうだよ」
「そっかー。楽しそうで良かった」
鈴木さんは藍くんの背中を親しげにポンっと叩いて笑顔を見せる。
藍くんってやっぱり人気者なんだなぁ。
鈴木さんとも仲良いんだ。
「2人ともお似合いだね。お幸せに!」
「ありがとう鈴木さん」
「じゃーね!」
そうして私達は手を振って鈴木さん達を見送った。
私は去って行く鈴木さんの背中を少しだけ見つめる。
……気にしすぎかな。
なんか……ちょっとだけ、藍くんとの距離が近かったような気がする。
いややっぱり気にしすぎだよね!?
藍くん仲良い人多いし……そんなの他にもいっぱいいるはずだよね。
付き合いたてでこんなこと気にするなんて……私ってこんなに心が狭かったんだ。
「珠姫ちゃん」
「……あ、ごめん!ぼーっとしてたっ」
不意に藍くんに呼ばれた私は、慌てて顔を藍くんに向ける。
ていうかせっかくの放課後デートでこんなこと考えるなんて私最低だっ。