爽やかくんの為せるワザ

彼もまた







「あまーーーい!」




某芸人のギャグのように大声を上げたのは敬吾くん。

彼の片手にはシュークリームが持たれている。




「うっせぇよ敬吾」


「やばい!俺のシュークリーム激甘過ぎる!」


「敬吾さぁ……カスタードに砂糖入れ過ぎたんじゃない?」


「それだ!だってシュークリームって甘い方が美味いじゃん!」


「加減を知れ、加減を」




只今、絶賛調理実習中です。


楽しそうに盛り上がる敬吾くんに、クラスメイトも笑いだす。

ツッコミを入れる沙羅ちゃんと桃ちゃんは、呆れたように溜息を漏らしていた。



敬吾くんって、ほんとに面白いなぁ。




「敬吾……それ花恋に渡すつもりだったんじゃないの?」


「あっっ……まじだ。やべぇ……こんな甘いの渡せない……」


「いやお前乙女か!そういうのは普通女子がやんだろ!」


「え、駄目!?だって花恋ちゃんスイーツ好きっぽいじゃん!」


「突然仲良くもない男子から渡されるスイーツほど怖いもんねぇよ」


「嘘だろ!?!?」




最早コントのようなやり取りが繰り広げられ、クラス中は笑いに包まれた。



……敬吾くん、花恋ちゃんに渡すつもりだったんだ。


シュークリームかぁ。

藍くんに……渡してみようかな。


上手く作れたし、せっかくだから食べてもらいたい、かも。


……こ、こういうのも彼女っぽいかな。




「……ていうか俺、そもそもシュークリーム渡せるような勇気ない……」



ガクーンと膝を付いて落ち込む敬吾くん。

それを励ますように、桃ちゃんは敬吾くんの肩をポンと叩いた。



……頑張れ敬吾くん。



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