爽やかくんの為せるワザ





――そうして放課後。


私は1人、教室で藍くんを待っていた。


桃ちゃんと沙羅ちゃんは気を利かして先に帰ってくれている。

とは言っても、桃ちゃんは友達と遊びに行ってて、沙羅ちゃんは大地くんとデートらしいけど。

ちゃんと用があるんですね。



藍くんは掃除中。

もうすぐ終わるかなぁ。



「……あ」



誰かが教室に入ってくる気配がしたと思えば、漏れたようなそんな声が聞こえて。

何気なくそちらを見やると、そこには佐賀くんがいた。


……ていうか、気付けば教室に私しかいなかったんだ。




「佐賀くん、忘れ物?」


「え……あ、うん……」



佐賀くんは小さく頷いて、自分の席に向かって行った。

そして机の中をゴソゴソとしだす。



……そういえば私、佐賀くんにお礼言ってなかった。



「あ、佐賀くん」


「……え……何?」


「この前、私が元気出せるように言葉掛けてくれて……ありがとう」


「……あ……」



私の言葉に、佐賀くんはパッと俯いた。


佐賀くんが、私の為に何かしたいって言ってくれて……嬉しかった。

おかげで藍くんとも付き合えたし、ちゃんとお礼言わなきゃ。



「全然……僕、何も出来てないし……」


「ううん、私を応援してくれてる気持ちがすごく嬉しかった!」


「……」



恥ずかしそうに首を振る佐賀くんに、私は思わず笑ってしまう。


ほんとだよ、佐賀くん。

佐賀くんの言葉は……ちゃんと人を勇気付けられるんだよ。


もっと自信持っていいよ。


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