爽やかくんの為せるワザ




「――へぇ、佐賀くんってそんな一面があるんだ」




私の話を聞いてくれた藍くんは、関心を示すように頷いている。



……よく考えたら、藍くんにとっては面白くなかったんじゃないかなって。

だって彼女が……教室で男子と2人っきりで話してたなんて。

しかも佐賀くんは顔を赤らめてたわけだし。


藍くんも……不快になったんじゃないかなって思ったんだけど。



「佐賀くんって、結構親しみやすいね」



藍くんってば、全然そんな素振り見せない!


さすが藍くん、器も大きいんだな……。

ちょっとほっとしてる反面、寂しかったり……。


って!

なんで私はあわよくばヤキモチ妬いて欲しいとか考えてる!?


やっと付き合えたのに、またそんな贅沢なこと考えちゃってるよ!

もうっ。




「なんかさ、佐賀くんって珠姫ちゃんには心開いてるよね」


「え……そうかな?」


「うん。あの大人しい佐賀くんの心を開いてみせた珠姫ちゃんって……すごいんじゃない?」


「うっ……そそ、そんなことないよっ」



真っ直ぐなキラキラした目を向けられ、私は眩しくて思わず目を逸らした。


……ヤキモチ妬くどころか、尊敬の眼差し向けられてる。

私は心から反省してます……。



「あ、そういえば!今日敬吾くんが調理実習で面白かったの!」



私はなんとか話題を逸らそうと必死で今日のことを思い出した。


このままだとネガティブ思考になりそうだったから、危なかった……。



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