爽やかくんの為せるワザ



「あー、もしかして激甘シュークリーム?」


「そうそう!敬吾くんから聞いた?」


「聞いたよー。俺もカツも食べたけど、ほんとに胸焼け起こすくらい甘かった」


「あはは、どれだけ砂糖入れたんだろー」




その後、どうやら敬吾くんは花恋ちゃんにシュークリームを渡すことは出来なかったらしい。


確かに渡すなら、上手く出来たものを渡したいよね。



……って。

私もだ!!



「あ、藍くんっ」


「うん?」


「これっ、私も作ったから……どうぞ!」




私は鞄からシュークリームの袋を取り出し、藍くんへ突き出した。


あげるって言っておきながら、すっかり渡すの忘れてた。


……思い出せて良かった。

ありがとう、敬吾くん。




「……いいの?」


「う、うんっ。お口に合うか分からないけど……」


「ありがとう」




シュークリームを受け取ってくれた藍くんは、眩しい笑顔を見せてくれた。


心が浄化される笑顔に、私はまた見とれてしまう。




「……俺、結構期待してた」


「え?何が?」


「敬吾に調理実習の話聞いて……もしかしたら珠姫ちゃんが作ったシュークリーム貰えるかもって」


「……え」


「あんまり俺が期待し過ぎちゃってたから、どんどん無いのかなって思って……ちょっと残念に思ってたけど、今貰えてめちゃくちゃ嬉しい」




そんなこと……思ってくれてたんだ。


藍くんが私のシュークリームを……期待。


あ、駄目だ。
にやける。



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