爽やかくんの為せるワザ



「えーすごい嬉しい。……今食べてもいい?」


「あ……ど、どうぞ!」




無邪気な少年のようにキラキラした目でシュークリームを見つめる藍くん。

そして優しい手付きで、ゆっくりと袋を開封していく。



藍くん……そんなに楽しみにしてくれてたなんて。

なんか私……嬉しくて泣きそうだよ。




「いただきます!」


「は、はい!」



藍くんがシュークリームに齧りついた瞬間、サクッと小さな音が聞こえた。

そしてもぐもぐと藍くんの綺麗なほっぺたがリスのように動く。




「……うわ、めちゃくちゃ美味しい」


「え、ほんと?」


「ほんと!珠姫ちゃんのシュークリーム最高っ」




藍くんは再び、これでもかってくらいの満面の笑みを見せてくれた。


……すごい。

藍くんの全部がキラキラして見える。


好きフィルターってこんな感じなのかなぁ。


私……藍くんが好きでたまらない。




「絶妙な甘さだね。敬吾がどれだけ甘かったか改めて分かる」


「あはは、なんか私も敬吾くんのシュークリーム食べたくなってくる」


「いや……やめといた方がいいと思うよ」


「藍くんが言うって相当だね」



私達2人は、廊下で仲良く笑う。


人が少ない廊下は、少し新鮮で別の場所みたい。

……この2人っきりの時間が、とても心地良い。


藍くんとなら……どんな場所でも素敵な空間になるんだろうなぁ。



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