爽やかくんの為せるワザ




あ、そういえば。



「佐賀くんって好きな人いないの?」


「えっ」



佐賀くんは私の質問に、肩を跳ねさせて驚いた。

そして怪訝そうにこちらに顔を向ける。



前に聞こうと思ってたの忘れてた。

佐賀くんに好きな人いたら応援したいなって思ってたんだった。


……でも、佐賀くんは好きな人とかあんまり話したがらなさそうだな。




「……な、なんで……?」


「えっと、佐賀くん告白されてたよね?でも誰とも付き合ってないから、もしかして好きな人いるのかなーって」


「……」




再び俯いて黙り込んでしまう佐賀くん。

やっぱり……この話題やめた方が良かったかな。



違う話題に変えようかなと思い始めたその時。





「いない……。
僕に好かれたって……嬉しくないし……」




俯く佐賀くんの表情はこちらからは見えない。


でも

とても弱々しくて小さな声が……彼の気持ちを表現していると感じられた。



私は佐賀くんのこと軽く考えてたのかもしれない。

佐賀くんに自信を持ってもらいたくて、色々自分なりに協力して。


佐賀くんが「自信持てた」って言ってくれただけで嬉しくて安心して。



でも……当たり前だけど、完全に自信が持てるようになったわけじゃない。

私がしたのは……本当に些細な事だし。



佐賀くんにちゃんと自信をつけるのは相当難しいことなのかもしれない。

ていうか佐賀くんだけじゃなくても、難しいことなんだと思うけど。



……でも、ちょっと佐賀くんネガティブ過ぎだよ!


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