爽やかくんの為せるワザ
「――っていうことがあったんだよ!俺もう天国に行けるレベルで幸せ!」
教室で声高らかに喜びを明かす敬吾。
聞かされた珠姫達はそれぞれ違う反応を見せる。
「そんな些細なやり取りでそこまで喜べるとか、お前まじで幸せな奴だな」
「花恋もそんな敬吾の反応で気付かないくらい鈍感だからなぁ」
「……すごい!敬吾くん良かったね!」
冷めた2人とは違い、素直に喜んでくれた珠姫に敬吾はじーんと感動する。
「うん……良かった!超嬉しいッ」
「ねーねー、敬吾って本気で花恋のこと好きなの?」
机に肘をついて敬吾を見上げる桃。
質問の意図は分からず、敬吾は素直に大きく頷いて「もちろん!」と拳を握った。
「それって、花恋と付き合いたいってこと?」
あ。と一瞬固まる敬吾。
好きだという気持ちが強過ぎて、敬吾は今まで〝そういうこと〟を考えたことがなかった。
ただ花恋と話せるだけで嬉しい、花恋と仲良くなりたい、そういう気持ちが勝っている今の敬吾。
自分と花恋が付き合う姿なんて、全く想像が出来なかった。
「……分かんね!考えたことない!」
「あはは、敬吾らしいねぇー。敬吾がいいならいいけどさ」
「俺花恋ちゃんが笑ってたりするの見てるだけで満足なんだよな。付き合ったら俺が緊張して顔とか見れなくなりそうだし」
「あーありそう。敬吾ってまじで純粋だね」
「え、そうか?」
首を傾げる敬吾に、桃は「ほら、天然」と笑うのだった。