爽やかくんの為せるワザ
「……そ、そんなに意外だった?」
「意外過ぎたよ!え、なんでなんでなんで」
「え……だってなんか天然で面白いっていうか……。皆にも愛されてない?」
「愛されてるっちゃ愛されてるのかな。なんか敬吾はいじられキャラってイメージ強いからさ」
「いじられても明るく面白く反応してるし、なんか良い人なんだろうなって思ってたんだけど……、もしかして私だけなの?」
「いや、そんなことない」
ずばっと言い切ったのは桃だった。
その目力と語気の強さに、花恋達は注目する。
「敬吾は良い奴だよ、ほんと。純粋で真っ直ぐで、確かに愛されてる。私が強引に文化祭の実行委員させても、ちゃんと最後まで仕事してたし」
「……へぇ。あ、桃は敬吾くんと同じクラスだっけ」
「うん。クラスも盛り上げてくれるし。まあ、アホ過ぎだけど」
「あはは、だからいじられちゃうんだね」
花恋は口を軽く押さえて笑ってみせる。
そんな桃とのやり取りを、女子達はクレープを食べながら呆然と眺めていた。
桃が敬吾の魅力を伝えて好感度を上げようとしていることを察した女子達は、とりあえず傍観を決めることしたのだ。
たまには敬吾の為に何かしてやるか、という気持ちで話しだした桃だったが、意外と花恋の反応も良かったのでそのまま続けることに。
「桃のクラス楽しそう」
「まあね」
「……そういえば文化祭って、3組は男装と女装するカフェだったよね?なんか敬吾くんの女装がやばいって皆言ってたなぁ」
桃はまずい、と口を噤んだ。
確か敬吾は花恋に女装を見られたくないと嘆いていた気がしたのだ。
この流れは完全に「敬吾くんの女装見たかった。写真ある?」になってしまうと察した。