爽やかくんの為せるワザ
「桃達が男装してるとこ生で見たかったー。写真では見たけどさ。
でも敬吾くんの女装は見たことないんだよね」
「……あ、そうだっけ?」
「どんなのか気になる。桃写真持ってる?」
やはりきたか。
桃はちらりとスマホに目をやる。
敬吾の為を思うならここはなんとか誤魔化して見せないようにすべきだろうけど、
言い方によっては花恋に『敬吾が花恋を好き』ということがバレてしまいかねない。
桃は少し考えてから、軽く首を振った。
「やめといた方がいいよ。まあまあひどいから」
「えぇ、そんなに?逆に気になるよ」
「駄目。見たいなら敬吾自身から見せてもらってよ。敬吾が嫌がるかもなのに、私から勝手に見せられない」
「あ……それもそうか」
なんとか納得してくれた様子の花恋を確認して、桃はにこりと笑ってみせた。
さすが桃。と傍観していた女子達は桃を称える。
やんわり断りつつ、敬吾と花恋の繋がりを作り出した桃に尊敬の眼差しを向けた。
「敬吾くん見せてくれるかなぁ」
「さあ、どうだろ。まあ、また3組遊びにおいでよ。敬吾捕まえとくからさ」
「あはは、そこまでしなくていいよ。でもありがとね」
可愛らしい花恋の笑顔に、一同は一瞬うっとりとする。
……敬吾、感謝してよね。
と、桃も優しい笑顔を浮かべた。