爽やかくんの為せるワザ
「……じゃー決まんないから敬吾でいいんじゃない?」
桃ちゃんがそう言うと、クラスメイトの田端敬吾くんが「えっ!?」と声を上げる。
他の皆は「いいじゃん」「おー敬吾サンキュー」と拍手なんかしていて。
敬吾くんはカツくんの友達で、前のカラオケにも来ていた人だ。
いじられキャラだけど、優しくて皆から慕われているイメージ。
確かミスコンに出てた北河花恋ちゃんのことが好きだって聞いたことある。
「去年花恋ちゃんも実行委員してたから、ワンチャン今年もやるんじゃね?」
「もしかしたら実行委員の会議とかで花恋ちゃんと仲良くなれるかもだぞ」
男子はそう言って敬吾くんを煽っている。
敬吾くんも満更じゃなさそうで、「まじか!?」なんて興奮気味だ。
「実行委員になって花恋に良いとこ見せよう、敬吾」
ぐっと親指を突き立てる桃ちゃん。
敬吾くんはそれを見て、嬉しそうに大きく頷いた。
「俺、花恋ちゃんに良いとこみせる!」
「よーしじゃあ実行委員は2人で決まりなー」
敬吾くんの言葉を無視して、先生は書類に名前を記入していく。
……なんだかわくわくしてきた。
どんな文化祭になるかな。