爽やかくんの為せるワザ
もうすぐ
「あーーー……全然集中できねー!」
シャーペンをノートの上に投げて、伸びをしながら嘆いたのは敬吾くんだった。
今日は藍くん家で勉強会。
メンバーは前と同じだけど、今回は少し状況が違う。
……私は、
〝藍くんの彼女〟としてここにいる。
……それだけでなんか、ドキドキが増すというか……なんというか。
前来た時とは明らかに何かが違う。
「花恋ちゃんのことばっか考えちゃう」
「乙女かよ。てかいつまで前のこと引きずってんだ?」
敬吾くんへツッコんだカツくん。
同じく集中力が切れたのか、シャーペンを置いて首をコキコキ鳴らした。
「だって!超超超嬉しかったからさ!?」
「ほんと好きだな、花恋ちゃんのこと。もうデート誘えよ」
「む!?無理だ!!」
「あ、そうそう。皆にお知らせ」
すると桃ちゃんもペンを置いて、皆に向かって手をひらひらと振って見せた。
ここで全員一旦勉強会を止める。
「24日のクリスマスイブに愛里の家でクリスマスパーティーするんだよね。かなり人数いると思うけど、皆来てね」
ざっと皆を見渡しながら桃ちゃんはさらりと言ってみせる。
聞かされた私達は一瞬ぽかんと口を開けて。
「愛里って、村本?家そんな大きいんか?」
「あれ、沙羅知らない?愛里の家すごいお金持ちで大きいんだよ。
クリスマスパーティーしたいって話してたら愛里から「あたしの家でやろ」って言ってくれたの。
その代わり人集めるのは私が担ってる」
……へぇ〜!
確かに桃ちゃん友達かなり多いもんね。