爽やかくんの為せるワザ



クリスマスパーティーかぁ。

ちょうど藍くんと前に「24日は皆で集まりたい」って話してたな。


桃ちゃん主催のパーティーならすごく人が増えそうだけど、

楽しそうだし行きたいな。



ちらっと藍くんを見ると、ぱちっと目が合った。


藍くんはなぜか表情を曇らせていて、気まずそうにしている。


……うん?

藍くんどうしたんだろ。




「ねぇ緒方……俺ってそれ行っていいの?」



申し訳なさそうに桃ちゃんへ尋ねた藍くん。

桃ちゃんはそんな藍くんを見て、ぐっと親指を突き出した。



「愛里が「藍くんが気遣ってたら無理矢理にでも連れて来ていいよ」って。愛里は全然大丈夫って言ってくれてたし、逆に行ってあげた方がいいんじゃない?」


「そうなんだ……」




安心したように笑う藍くんを見て、私もようやく気付いた。



そうか……、

村本さんって藍くんに告白して振られたんだっけ。


だから藍くんは「行っていいの?」って聞いたんだ。

振った側として、村本さんに嫌な思いさせてしまうんじゃないかって。


気まずくなったらお互い嫌だもんね。



……ていうか、それなら私も気まずいよね!?


村本さんが好きだった藍くんと付き合ってるし。

な、なんにも考えてなかった。




「藍くんもたまも、ほんとに気にしなくていいから。じゃないとそもそも誘わないし。

愛里は2人のこと応援してくれてるよ」




だから皆で楽しもう、と桃ちゃんは私と藍くんを交互に見た。


……そっか。

なんかそれ聞いて……すごく嬉しい気持ちになる。


村本さんの優しさが身に染みるよ。

ありがとう村本さん……。


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