爽やかくんの為せるワザ



藍くんは私のことを考えてくれてて、大切に思ってくれてて、襲わないつもりだったのに。


……私ってば自分のことばっかり。



ていうか今更だけど、ほんととんでもないこと聞いてるよね私。

こんな風に考える自分に驚きだよ。


でも襲わないって聞いて、ちょっと安心したような……複雑なような。



いや襲って欲しいっていうわけでもないんだけど……!

なんか、こう……自信が無くなるというか。


藍くんはああ言ってくれてるけど、私の色気の無さもちょっとはあるんじゃないかって思ってしまう。


……こんなこと考えたら駄目なのに、どんどんネガティブに……。




「だから珠姫ちゃんは安心して勉強していいからね」


「……うんっ、ありがとう」




感情がバレないようになんとか自然と笑ってみせる。


……もう、ちゃんと勉強しよ。

藍くんも私の為にああ言ってくれてるし。


自分勝手な自分に嫌気がさしてきた。




……私、あの時の藍くんが見たかったのかな。



〝珠姫ちゃんが可愛すぎて……我慢出来なかった〟



キスしてくれた、あの時の藍くん。


動揺してて、真っ赤になって顔を手で覆うあの姿が忘れられない。



たまらなく愛しかった。

またあんな藍くんを見たいって思っちゃってたんだなぁ。



……藍くんはあの時、私が〝可愛すぎて〟我慢できなかったって言ってたけど、


どこがどう可愛かったんだろう。

それも我慢できなくなるほど。



……そこをもっと追及できれば、またあんな藍くんを見られるだろうか。


って、私まるで……よ……欲求不満みたいだね!?



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