爽やかくんの為せるワザ
――「佐賀くん、ちょっといい?」
また中庭で写生をしていた佐賀くんの隣に、すとんと腰を下ろして声を掛ける。
私の存在に気付いた佐賀くんは、びくっと肩を跳ねさせて私を振り返った。
今日も藍くんは体育委員会で遅くなる為、私は終わるまで待っているのだ。
そこでちょうど佐賀くんを見掛けたので、ちょっと相談をしてみようかと。
「……ど、どうしたの成瀬さん」
「あのね……ちょっと相談に乗って欲しいんだけど……」
恐る恐る尋ねてみると、佐賀くんははっとしてこくこくと頷いた。
「の、乗るっ……!なんでも言って……」
不意にずいっと美しい顔が近付いてきて、私は思わず視線を逸らしてしまった。
さ、佐賀くんが珍しく積極的だ。
きっと前から私の相談に乗りたいって言ってくれてたからだろうな。
私もそれがあったから今回佐賀くんに聞いてみようと思ったんだけどね。
「……あの、多分引くと思うんだけど」
「……?」
「……佐賀くんは……女の子のどんな仕草や言葉で魅力を感じたりする……?」
ちらりと佐賀くんの顔を見ると、彼はぽかんとしてこちらを見つめていた。
そして白い顔はみるみる赤く染まっていく。
「……なっ、……え……?」
「男の子の意見が聞きたくてさ……。佐賀くん話しやすいし」
「……そ、そう……なんだ」
明らかに動揺する佐賀くん。
なんかちょっと申し訳なかったかも。
……でも、まさか藍くんには聞けないし、カツくんや敬吾くんに聞いたら藍くんに気付かれそうだと思って。
沙羅ちゃんと桃ちゃんは女の子だし。
佐賀くんって私的に話しやすいし、前相談に乗ってくれるって言ってたから。
……聞いてみたんだけど、やっぱり引かれたかな。